このチュートリアルでは、バッキング層と整合層を使用してシンプルな2次元トランスデューサーモデルを作成し、インピーダンス、指向性プロット、送信感度などの出力を解析する方法を学習します。
このチュートリアルの主な内容
- OnScale Designerの基本的なシミュレーションワークフロー
- 2D軸対称モデルを設定する方法
- 単純な形状を作成する方法
- 圧電材料のシミュレーション方法
- 結果処理とその可視化する方法
- Extrapolation toolの使用方法
解析モデルの概要
解析モデル |
PZTディスクの寸法:10 mm x 2 mm バッキング層の寸法:10 mm x 5 mm 整合層の寸法:10 mm x 1/4波長mm 水領域:15mm x 20mm |
メッシュサイズ |
0.1 mm |
解析結果 |
インピーダンス 1 MHzでの指向性 送信感度 |
材料物性値
材料名 | Water at 25C | CTS 3203HD | Vantico HY1300/CY1301 | Backing (20% VF) |
OnScaleデータベース内の名前 | watr | pmt3 | hard | back20 |
密度 | 1000 kg.m-3 | 7820 kg.m-3 | 1149 kg.m-3 | 4800 kg.m-3 |
バルク速度 | 1496 ms-1 | 4708.36 ms-1 | 2536 ms-1 | 1800 ms-1 |
せん断速度 | 0 ms-1 | 1687.891 ms-1 | 1179 ms-1 | 962 ms-1 |
Note: OnScaleの材料物性データベースでは、弾性率とポアソン比の代わりにバルク速度とせん断速度を値を使って定義しています。 両者の関係性について詳細を知りたい方は、ここのページをご参照下さい。
解析の目的
多くのトランスデューサセンサーは、帯域幅などを最大化するために、多層構造を使用しています。一般的な方法は、重いバッキング層と整合層を導入することです。
設計は特定の環境条件下でテストされ、実際のパフォーマンスを測定して設計を検証します。
Important: 新規プロジェクトウィンドウで、対称軸を正しく選択していることを確認してくださいDesignerモードで後では後から対称軸を変更することはできません。
解析のワークフロー
本セッションでは、各ステップ毎にワークフローを説明します。
Step 1 - 新規プロジェクトの作成
- New Projectをクリックします。クリック後、New Projectウィンドウが現れます。
- プロジェクトの名前(Transducer_2D)を入力します。
- 必要に応じて、Project Fileの横にある … をクリックして、保存場所やプロジェクトファイル名を変更します。
- AnalysisでMechanical Dynamic選択します。
- Model Typeで2D Axi-Symmetric Model (Y)を選択します。Warning: 後から対称軸を変更することはできません。必ずYを選択して下さい。
- Advanced にチェックを入れます。
- Distanceでmm選択します。
- 最後にOKをクリックします。
Step 2 -- 材料物性の選択
最初に、材料物性データベースから解析で使用する材料を追加します。
- Project Materialsをクリックします。
- Fluidを展開し、水(watr)をダブルクリックしてProject Materialsに追加します。
- Epoxyを展開し、hardとback20をダブルクリックして追加します。
- Piezoelectricを展開し、pmt3をダブルクリックして追加します。
- pmt3を展開し、poling directionをY+へ変更します。
- Doneをクリックします。
Step 3 - 解析形状を作成する
Note: XとYに変更を加えたら、ワークスペースを右クリックしてReset Viewを選択します。
- Rectangleをクリックします。
- Materialでwatrを選択します。
- End (mm): X (mm) = 15を入力します。
- End (mm): Y (mm) = 15を入力します。
- primitive_1を右クリックしてDuplicate Selectionを選択します。
- primitive_2をクリックします。
- materialをwatrからback20へ変更します。
- End (mm): X(mm) = 10を入力します。
- End (mm): Y(mm) = 5を入力します。
- primitive_2を右クリックしてDuplicate Selectionを選択します。
- primitive_3をクリックします。
- materialをback20からpmt3へ変更します。
- Begin (mm): Y(mm) = 5を入力します。
- End (mm): Y(mm) = 7を入力します。
- primitive_3を右クリックしてDuplicate Selectionを選択します。
- primitive_4をクリックします。
- materialをpmt3からhardへ変更します。
- Begin (mm): Y(mm) = 7を入力します。
- End (mm): Y(mm) = 7.634を入力します。
Step 4 - 駆動関数を指定する
駆動関数(時間関数)が必要です。時間関数としてRicker Wavelet駆動関数をを使用します。
- '+' をクリックし、Define Input Time function windowを開きます。
- Ricker Waveletへ変更します。
- Insertをクリックしてウィンドウを閉じます。timefunc_1がウィンドウに追加されます。
Step 5 - メッシュサイズの指定
1波長ごとに15要素を使用します
- Configurationをクリックします。
- DefinitionsでWavelength Basedを選択します。
- Elements per Wavelengthに15を入力します。
Step 6 - 電極の設定
2つの電極を表す2つの荷重を設定します。上部電極を駆動し、下部電極を接地とします。
上部電極の設定
- Model TreeにあるBoundary Conditionsを展開し、横にある+をクリックします。
- Creation ModeでGeometry Interfaceを選択します。
- Geometryでprimitive_3 (pmt3)を選択します(あるいはモデルをクリックします)
- Interfacing Itemでprimitive_4 (hard)を選択します。
- Load TypeでVoltageを選択します。
- Terminationでtimefunc_1を選択します。
- Create Loadをクリックします。
下部電極の設定
Load Definition ウィンドウはまだ開いた状態にあるとして、以下の手順で設定します。
- Geometryでprimitive_3 (pmt3)を選択します(あるいはモデルをクリックします)
- Interfacing Itemでprimitive_2 (back20)を選択します。
- TerminationでGroundを選択します。
- Create Loadをクリックします。
Step 7 - 境界条件の設定
このモデルは軸対称モデルであるため、X minimumの境界条件を対称に変更する必要があります。
- Domain Boundariesをクリックします。
- X Minimumを展開し、Symmetryへ変更します。
- それ以外はすべてAbsorbingへ変更します。
Step 8 - 解析実時間の指定
- Analysisをクリックします。
- Simulation Timeに2e-05を入力します。
Step 9 - 計算結果出力の設定
結果処理でExtrapolation toolを使用するために、外挿境界を定義します。
出力結果 1: 外挿データ
- +をクリックしてoutputを作成します。
- Output TypeをExtrapolation Dataに変更します。
- Cutting PlaneをYします。
- Change Cutting Point (mm) に8.5を入力します。
Step 10 - クラウド上で解析実行
モデルの設定が完了しましたので、クラウド上で解析を実行します。
- Run on Cloudをクリックします。
- ジョブ名を変更することも可能です。ジョブ名がストレージに表示されます。
- Estimateをクリックします。
- Runをクリックします。
解析結果ファイルをローカルマシンへダウンロードする方法
計算終了後、解析結果ファイルをローカルマシンへダウンロードする必要があります。ダウンロードは結果処理を行うために必要です。
- Storageをクリックすると、以下のウィンドウが表示されます。
- Jobから計算した解析モデルを選択します。
- Downloadをクリックします。
- Download Allを選択します。
file explorerが表示されたらファイルの保存先を選択し、Select Folderをクリックしてウィンドウを閉じます。
Step 11 - 結果処理を行う
Post Processorモードへの切り替え
- Post Processorへ切り替えるためにアイコンをクリックします。
解析結果ファイルを開く、コンダクタンスを計算して表示する
- File Explorerで、時刻歴ファイル(.flxhst)をダブルクリックします。
- load1のChargeを選択します
- ドロップダウンメニューからReal / Imagを選択します
- Admittanceをクリックします。
- Frequency Historyの下に2つの新しい結果が作成されます。Admt:load1.reをダブルクリックして結果を表示します。
- アドミタンス(コンダクタンス)の実部が表示され、トランスデューサの性能をより詳細に検討することができます。
Extrapolation Toolを使用する
- Toolsタブで、Extrapolation Toolを選択します
- Openをクリックします。
- ダウンロードした外挿ファイル(.flxext)を選択します
- Openをクリックします。
- flxmdlファイルを開くか聞かれますので、Yesをクリックします
指向性(放射状プロット)
- Radial Plotを選択します。
- Y1指向性の原点を7.634e-3 mに変更します。
- Radius (m)を1に変更します。
- Angular Spreadを180に変更します。
- No. of points on lineを181に変更
- Propagation VectorをYに変更します。
- Drive Frequency (Hz) 1e6に変更します。
- Startをクリックして計算します。
放射状プロット結果の表示
送信感度(TVR)
- TVR Calculationをクリックします。
- User Definedを選択します。
- Yに参照位置7.634e-3 mを入力します。
- Propagation directionをYへ変更します。
- Startをクリックして計算します。
TVR応答
まとめ
紹介したチュートリアルについて、ご自身でも設定を変更や追加、他の出力を追加したりなど、色々お試し下さい。