TRL波の検査シミュレーション

このチュートリアルでは、TRL(Transmit Receive Longitudinal)波を使って水が通る鋼管の検査シミュレーションを行います。解析モデルは3次元モデルで、 CADデータを使用します。

このチュートリアルの主な内容です。

  • CADデータ読み込み
  • 面に機械的な荷重を設定する方法
  • 受信した音圧を計算する方法

解析の概要

model.png

解析モデルの概要

解析モデル TRL波検査
ブロック角度= 15度
ウェッジ角度= 162度
メッシュサイズ 1波長に対して16要素 
解析実時間 0.1 [ms]
解析結果

レシーバーの音圧の時刻歴

- 最大音圧

 

材料物性値

材料名

OnScaleデータベース内の名前

密度

バルク速度

せん断速度

Rexolite

rxlt

1060 kg.m-3

2340 ms-1

1100 ms-1

Stainless Steel, Generic 

stst

7890 kg.m-3

5790 ms-1

3100 ms-1

Vacuum

vacm

0 ms-1

0 ms-1

0 ms-1

Water watr

1000 ms-1

1496 ms-1

0 ms-1

 

解析の目的

欠陥のサイズの推定など、検査に関連する多くの問題があります。中でも最も重要な問題は、欠陥の正確な位置、大きさ、および欠陥の特徴を評価することです。TRLは、表面近くの検査で一般的な方法であり、検査設計のシミュレーションは最適化に必要です。

このシミュレーションでは、ウェッジの一方のプローブか送信し、もう一方のプローブで受信します。

 

解析のワークフロー

Step 1 - 新規プロジェクトの作成

最初に、新しいプロジェクトを作成する必要があります。

  1. HomeタブにあるNew Projectをクリックします。クリック後、New Projectウィンドウが現れます。
  2. プロジェクトの名前を入力します。
  3. 必要に応じて、Project File の横にある   …  をクリックして、保存場所やプロジェクトファイル名を変更します。
  4. AnalysisMechanical Dynamic選択します。
  5. 最後にOKをクリックします。
trl-new-project.png

Step 2 - Frequency of Interestの設定

対象の周波数を指定します。

  1. Model TreeProject Settingsをクリックします。
  2. Frequency of Interestを展開します。
  3. ボックスにチェックを入れます。
  4. 150,000を入力します。
project_settings.png

Step 3 - 材料物性の選択

材料物性データベースから必要な材料を選択します。

ステンレス鋼

パイプの材料 ステンレス鋼を選択します。

  1. Project Materialをクリックします。
  2. Metalを展開します。
  3. Stainless Steel, generic -ststをダブルクリックします。
ststs.png

Rexolite、vacm

ウェッジの材料rexoliteと、プローブの材料vacmを選択します。

  1. Miscを展開します。
  2. Rexolite - rxltをダブルクリックします。
  3. Vacuum- vacmをダブルクリックします。
rxlt-vacm.png

  1. Fluidを展開します。
  2. Water at 25C- watrをダブルクリックします。
  3. Doneをクリックして、Project Materialを終了します。
water.png

Step 4 - CADデータの読み込み

Note: OnScale 1.30.3以降、この手順はNew Projectウィンドウから実行できるようになりました 。そのため、最初の手順1~4で実行できます。

ダウンロード: TRL STEP File

  1. Importボタンをクリックします。
  2. ...をクリックし、TRL.stepを選択します。
  3. Importをクリックします。
import.png

Step 5 - 各パーツに材料物性を割り当てる

各パーツに材料物性を割り当てる必要があります。

ウェッジ

  1. Model TreeGeometryを展開します。
  2. part_1を右クリックし、Assign Material > rxltを選択します。
part1.png

プローブ

  1. part_2を右クリックし、Assign Material > vacmを選択します。
part2.png
  1. part_3を右クリックし、Assign Material > vacmを選択します。
part3.png

Pipe

  1. part_4を右クリックし、Assign Material > ststを選択します。
part4.png

Water

  1. part_5を右クリックし、Assign Material > watrを選択します。
part5.png

Step 6 - メッシュサイズの指定

メッシュサイズとして、1波長あたり16要素を使います。

  1. Model TreeModelを展開します。
  2. Meshを展開します。
  3. Configurationを選択します。
  4. Definitionsを選択します。
  5. Elements Per Wavelengthに16を入力します。
  6. Mesh Velocityを展開し、Definedを選択します。
  7. Mesh Velocityの1100を入力します。
mesh.png

Step 7 - 駆動関数を指定する

駆動関数として時間関数を設定します。

送信プローブに圧力負荷を割り当てる必要があるため、駆動機能が必要です。このモデルでは、正弦波駆動関数を使用します。

  1. Model TreeForcing Functionsを展開します。 
  2. '+' をクリックし、Define Input Time function windowを開きます。
  3. Drive Frequencyの150,000を入力します。
  4. Insertをクリックしてウィンドウを閉じます。
time.png
 

荷重の指定

  1. Model TreeBoundary Conditionsを展開、 Loadsの隣にある+をクリックします。
  2. Model TreeGeometryにあるpart_1のチェックを外し、非表示にします。
  3. Creation ModeGeometry Interfaceを選択します。
  4. part_2を選択します。
  5. Interfacing Itemで、ドロップダウンメニューからpart_1を選択します。
  6. focusing functionでtimefunc_1を選択します。
  7. Amplitude Scale Factor1を入力します。
  8. Create Loadをクリックします。

mceclip0.png

Step 8 - 境界条件の設定

Ymin以外のすべての境界を吸収条件(Absorbing conditions)に変更する必要があります。これは、パイプの一部をシミュレートしているだけであり、境界で波が反射しないためです。

  1. Domain Boundariesをクリックします。 
  2. X Minimumを展開、Boundary TypeをAbsorbingへ変更します。
  3. X Maximumを展開、Boundary TypeをAbsorbingへ変更します。
  4. Y Minimumを展開、Boundary TypeをAbsorbingへ変更します。
  5. Z Minimumを展開、Boundary TypeをAbsorbingへ変更します。
  6. X Maximumを展開、Boundary TypeをAbsorbingへ変更します。
boun.png

Step 9 - 解析実時間の指定

解析実時間を0.0001秒に設定します。

  1. Analysisをクリックします。
  2. Simulation Timeに0.0001を入力します。
analysis.png

Step 10 - 計算結果出力の設定

レシーバーの音圧の時刻歴、および最大圧力の出力設定をします。

1 - レシーバーの音圧の時刻歴

  1. +をクリックして、new outputを作成します。 
  2. Output TypeをTime Historyへ変更します。
  3. Location > Xに0.025を入力します。
  4. Location > Yに0.02を入力します。
  5. Location > Zに0.035を入力します。
out1.png

2- 最大音圧

  1. +をクリックして、new outputを作成します。 
  2. Output TypeをField Dataへ変更します。
  3. Field TypeをMaximumへ変更します。
out2.png

Step 11 - クラウド上で解析実行

これで解析モデルを作成できたので、クラウド上で計算を実行します。

  1. Run on Cloudをクリックします。
  2. Estimateをクリックします。
  3. Runをクリックします。
run.png

Step 12 - 結果処理を行う

解析結果ファイルをローカルマシンへダウンロードします。

計算終了後、解析結果ファイルをローカルマシンへダウンロードする必要があります。ダウンロードは結果処理を行うために必要です。

  1. Storageをクリックします。
  2. Jobから計算した解析モデルを選択します。 
  3. CTRLキーを押しながら.flxdatoと.flxhstを選択、右クリックしてDownload Selectionをクリックします。
download.png

ファイルエクスプローラーがポップアップ表示されたらファイルの保存先を選択し、Select Folderをクリックしてウィンドウを閉じます。

Post Processモードへの切り替え

Important: クラウドから結果ファイルをダウンロードすると、解析結果をローカルPCで結果処理できるようになります。次にPost Processモードで結果処理を行います。

  1. Post Processorへ切り替えるためにアイコンをクリックします。

解析結果ファイルを開く

  1. File Explorerをクリックします。
  2. 指定したフォルダを展開します。
  3. Results Managerにある.flxdatoと.flxhst をダブルクリックします。
file_exp.png

時刻歴グラフの表示

  1. Results Manageraprsをダブルクリックします。
aprs.png

最大音圧

  1. Results Managerのapmxをダブルクリックします。
  2. Continueをクリックします。
  3. Scale Factorに0.5を入力します。
  4. モデルを回転して、モデルのさまざまな部分での最大圧力を確認して下さい。
apmx.png

最後に

TRL波検査シミュレーションのチュートリアルを紹介しました。設定の変更したり、他の出力を追加するなど、このモデルを出発点に色々お試しください。